忌まわしい一日だった
一瞬のうちに不幸は訪れた。不幸というものは,何の前触れもなしに,突然,その邪悪な姿を現すのだ。
思えば,朝イチの仕事は空振りだった。不吉な予感はあったのだ。でも,その後が面白かったし,久しぶりに香椎のばあちゃん喫茶でゴルゴ13を読みながら食ったランチが満足気分だったから,油断がなかったか,と言えば,直ちに否定はできない。夕暮れ時は,嫌なおじさんとかおばさんとかの接客に追われたし,滋子姫や若きYが次々に帰った後は,少し寂しかったから,そこに落とし穴があったのかもしれない。だいたい,一人ぽっちで残るのは趣味じゃない。
iPodをちっこいチープなスピーカーにつないで古いアメリカンポップスをがんがん鳴らし,寂しさを紛らわせながらキーボードを叩いた。そんなとき,東京の世話好き女Yから携帯に電話があった。ちゃきちゃき系の威勢のいい話に,おおっ,そうか,よかったな,みたいに相づちを打ちながら,キーボードを叩き続けた。そしたら,突然,消えたのだ。慌てて起動したら,最後の1頁半くらいがない。どこかにバックアップはないかと探したけど,ない。
オフィスソフトをバージョンアップしたばかりだから,まだ慣れていないのだ。
くっ,あの力作のワードファイル1枚半だぜ。
探すより再現した方が早いか,と気持ちを切り替えて,資料をバッグに入れて帰ろうとしたら,今度はキーの束がない。ジョンレノンの格好いいキーホルダーにまとめたキーの束だぜ。
呆然としてバレリーナSに電話する。すぐに来てくれた。なんか,バレリーナSが現れたときは,天使が降臨したみたいに思えて,ラファエロの神々しい絵画とか思い出して,しみじみと嬉しかった。
帰り着くと,江戸の蕎麦をテーマにしたTVが面白い。少しばかりの豆ご飯に鶏肉,ギネスに黒糖焼酎を猪口に2杯。
変な一日だったな。
明日は長崎。
戦う目線で,雄叫びを上げるのだ。
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